山あいに 薬師導き 温泉地 ~菱野薬師 その1~ 

天気予報によれば、今日は良い天気のようである。しかし朝の数時間、浅科の霧は晴れないでいた。

田園地帯を車で走る。直線に走る道の両側の田んぼから、朝の太陽に暖められた土が蒸気を発生させている。これだけの田んぼの数だ。一枚一枚の田んぼから立ち上る蒸気が合わさって、大きな霧の幕を作っているのだろう。

田園地帯を抜け、塩名田から小諸に入ると霧は晴れ、フロントガラスの向こうに浅間山が、くっきり見えてきた。
先日より小さくなった雪型を山肌に貼り付け、今日は山の上空に雲もない。

ある公園に車を止める。
浅間山から時計回りに、グルッと視線を移す。軽井沢方面へ緩やかに下る稜線は、近くの小高い丘に阻まれた。その丘の手前は小諸の町だ。さらに視線を移すと冬色の太陽が、僕の目を細めさせた。

光を手で遮りながらまた視線を移すと、冬枯れの木立の間から稜線が現れた。その稜線の一番高い所は蓼科山だ。丸い蓼科山の天辺は禿げ頭のようだと思う。
視線は再び浅間山を捉える。

浅間山は穏やかだ。ヘリコプターの音がする。空を見上げてみたが姿はない。音だけを残してどこかに消えて行ったようだ。
耳を済ませてみれば、様々な音が聞こえてくる。穏やかそうに見えるこの景色の中に人の営みがあることを感じさせる。
暫くここに留まりたい気持ちをその音は、僕を仕事へと引き戻す。


現場に顔を出し仕事の状況を確認すると、午後の早い時間に小諸に戻った。実は今日のところは、この一件しか巡回してないのだが、ここしばらく休日出勤や夜の作業が続いていたので、
(たまにはいいか)という気持ちだった。幸い仕事の電話は一本あっただけで、それも急を要するものではなかった。

僕は、藤村の千曲川のスケッチに出てくる囁き道祖神の事が気になっていたので訪ねてみる事にした。
以前からこの道祖神のある場所を探していたのだけど、なかなか見つける事が出来なかった。それが最近得た小諸の風さん(@komoro)からの情報で、
(行ってみるか)と車を西に向けた。

目的の場所は大雄寺である。大雄寺は別名小諸善光寺と呼ばれている。
全国に善光寺と名の付くお寺は多い。それは戦乱などによって善光寺如来が一時遷座した寺だからだ。(でもなぜ、小諸に善光寺なのか?)
それは境内の由来書きを読めば想像出来る。

山あいに 薬師導き 温泉地 ~菱野薬師 その1~ 

大雄寺の本尊は、来迎印の阿弥陀如来立像で、両脇侍が観音と勢子の二菩薩を配した『善光寺三尊』だからだ。

さて、囁き道祖神だが、実は以前、Aさんから聞いて訪れたのだが、見当たらなかった。だから今日は住職か家族の人に尋ねるしかない。しかし訪れたものの留守だった。
(またの機会にするか)と僕は諦めた。

(つづく)

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タグ :小諸伝説

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2009年12月09日 Posted byLe musicastre at 23:40 │Comments(0)小諸(新・小諸雑記BLOG)

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