PAVAN ~小諸市動物園の孔雀~

Le musicastre

2010年03月29日 23:59

朝起きると雪。桜を待つばかりのこの時期に、小諸は5センチほどの雪が積もっていた。なごり雪にしては本格的過ぎる。しかし日中は太陽が顔を覗かせていた時間も多かったので、今朝の雪が幻だったかのように、夕刻にはほぼ消えた。やはり日差しは、春の日差しである。

さて、今話題の、その話題も落ち着いてきた感じだけれど、twitterを小諸市動物園も始めたようで、さっそくフォローした。
小諸市動物園は長野県最初の動物園で、小さいながらも親しみのある動物園である。
この動物園のアイドル的存在の川上犬さくらも、先日行った時より大きくなっていた。

その「先日」のことを記しておきたいと思う。

「その日」は今日とは違い朝起きると快晴。浅間連峰の裾野に白い雲が堆積しているだけで、その上から浅間山が覗いていた。
午前中はあれこれ処理出来たか出来ないか、進捗状況もはっきりしない程度の用事を済まして、午後になってから懐古園へ散策に行って来た。
晴れてはいるけど、まだ春になったばかりの季節の空気を温めるには到らず、風は冷たい。それでも散策するには丁度良いくらいだった。

いつものところに車を停めると、酔月橋を渡り園内へ入る。橋の下を覗き込むと、目も眩むほどの深い谷だ。右手の水の手にある、断崖を垂直に登った先の東屋は、遥か高い所にあるように感じる。この橋を渡るのは、まるで空中を歩くようだ。

園内は閑散としていたが、それでも観光客らしき人たちがポツリポツリといた。
桜の季節になれば、このポツリポツリの観光客もひしめき合うほどに賑わう。その季節はもうすぐだ。
小諸城址懐古園は、島崎藤村の『千曲川のスケッチ』によって有名になったが、その『千曲川のスケッチ』は春、桜の季節から始まっている。僕はこの「その一」の章の記述が一番好きだ。春の風景が浮かぶのだ。それはその文章に書かれた情景ではなく、自分が経験してきた数々の春が、その文章と重なった情景だ。

懐古園を訪れると僕は決まって、一番最初に動物園に向かう。
特にこの季節、動物たちはもちろんだが梅の開花を見に。懐古園の中では、動物園の梅が一番早くに咲くと思う。
エミュー舎のところの白梅、ライオン舎のところの紅梅。



紅梅は満開近かった。

しばらく動物園を散策すると、クジャク舎ではクジャクが大きく尾を広げていた。こうして尾を広げるのは求愛の時期に限ってだと聞いた事がある。珍しいので写真に収めた。



その美しい姿に、ルネサンス時代の舞曲が頭に浮かんだ。『パバーヌ』である。
パバーヌは、孔雀の舞いという。二拍子系のゆったりとした優雅な舞曲だ。それがいかにも孔雀の歩みのようなので、そう呼ばれるらしい。

下の演奏は、自分の演奏で恐縮だけど、パバーヌのひとつである。



John Dowland / Lachrimae Pavan

(まだ追記する予定だけど、とりあえずここまで)

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