逆光に 水面眩しく 千曲川 ~千曲川~ 歌枕1

藤村虚子亜浪をリスペクトとは言っているが、藤村と虚子に関しては、ただ単に小諸と接点がある部分だけであり、小諸以外の事に関してはあまり興味がない、まことに軟弱なものだ。
僕は小諸の住民になって十数年だけど、何故かまだこの町に馴染めない気がしている。おそらく数年の間だけ滞在した藤村と虚子は、もっと馴染めないでいたんではないかと思う。


藤村や虚子、亜浪に関しては小諸の図書館で知識を得ているが、小諸の図書館は正直なところ使いづらい(しかし愛着がある)。
虚子や亜浪の全集は揃ってはいるが、それらは(おそらく)二階の書庫にあって、普段人がいないから非常に入りづらい。それに資料的な価値のものだから貸し出しが出来ないものが多い。それで受付で閲覧申請をして持って来てもらう。これが面倒なのだ。それは自分の問題であるが、もう少し手軽にと思う。
駅舎に新図書館を併設という話があるらしいが、図書館は本を無料で貸し出すところではなく学習するところでもなく(もちろんこれらの機能は図書館としての基本だけど)コミュニケーションの場であり、豊かな心を育む場であり、情報発信も場であって欲しいものだ。

藤村と虚子、亜浪に関しての本はたくさんあるが、小諸時代を知るものとして、藤村は『千曲川のスケッチ』、虚子は『小諸雑記、小諸百句』は持っていたいものだ。しかし『小諸雑記』に関しては、古書でしか手に入らない(ネットのオークションと古書検索で見つけたので買おうかなと思案中)。ちなみに『小諸雑記』は小諸図書館にあり、貸し出し出来ないけど閲覧出来る。

亜浪に関して面白い本を、佐久中央図書館で発見した。亜浪自身が書いたものではないが、臼田亜浪翁顕彰会が昭和26、27年頃の出版した『千曲の川音』という資料的な本だ。印刷は依田活版さんだった。
亜浪関係の本を全て読むより、『千曲の川音』だけで概要を知る事が出来る。『千曲の川音』は今のところ先ほどの佐久中央図書館と飯田の図書館で発見しただけなので、しかもローカル出版なので、入手は困難かもしれない。


先日、軽井沢のセンセのお友達の浅見光彦の活躍を描いた事件簿を原作にしたドラマ、浅見光彦シリーズ『歌枕殺人事件』をやっていた。
浅見シリーズは好きで、浅見光彦倶楽部に入っていた事もあった。もちろん作品は全て読んでいる。最近は食傷気味で遠ざかっているが、ひとつの作品を何回も繰り返し読んでいた。
その割りには、ドラマを観ていてもはたして犯人が誰であったか、すっかり忘れてしまっている。
浅見シリーズはミステリーだけど、犯人が誰であるかは問題ではなく、光彦やその家族、ヒロイン、刑事たち、その人間たちに魅力を感じ、謎解きよりも、その魅力から再読してしまう。
大げさに言えば、犯人は誰であってもいいのだ。謎解きクイズのように一回やってしまえば終わりっていうものではない。

『歌枕殺人事件』は歌枕がテーマになっていて、歌枕とは和歌に詠まれた名所である。
そこで、自分の住む町の近くに、歌枕がないか調べてみた。そしたら、千曲川浅間山がそうだった。

歌枕なわけだから、和歌の中には千曲川が出てくるものがたくさんある。

「信濃なる筑摩の川のさざれ石も君し踏みては玉と拾はむ」

千曲川が歌枕でよく取り上げられる、万葉集の中の詠み人知らずの和歌だ。
この気持ちはよくわかる。好きな人が触れたものは宝物にしたいと、誰でも思う。
この和歌は、千曲川を見て現地で詠んだものではないと事は確かだ。
おそらく、詠んだ人の恋人か旦那さんが国府に赴任していて、何らかのいきさつで千曲川のであろう小石が詠んだ人のところに届いたのだろう。恋人か旦那さんは、上田に赴任していたのだろうと思う。なぜなら上田は信濃国府があったから。
つまりこの和歌の千曲川は、上田を流れる千曲川ではないだろうかと想像する。

千曲川、この名前に一番相応しいのは小諸ではないかと思うのは、僕が小諸に住んでいるという贔屓目からだろう。
小諸には、この千曲川を渡る橋が三つある。
千曲川を眺めるには、橋の上はいいかもしれない。何と言っても間近に俯瞰できるのだから。

逆光に 水面眩しく 千曲川 ~千曲川~ 歌枕1 逆光に 水面眩しく 千曲川 ~千曲川~ 歌枕1 逆光に 水面眩しく 千曲川 ~千曲川~ 歌枕1

(左から、小諸大橋、戻り橋、大久保橋、から千曲川上流方面を望む)




逆光に 水面眩しく 千曲川
(歌枕を訪ねて)

地図はそれぞれ、小諸大橋 戻り橋 大久保橋

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タグ :歌枕

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2009年10月04日 Posted byLe musicastre at 18:57 │Comments(0)小諸(新・小諸雑記BLOG)

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